お盆を前に、床の間に河野太通老師の墨蹟「帰去来」を掛けました。
「帰去来(ききょらい)」は、中国の詩人・陶淵明の『帰去来辞』に由来する言葉で、「本来あるべき場所へ帰る」という深い意味を持っています。
私は、お盆を迎えるこの時期、祖先の霊がそれぞれの家へお帰りになることを思い、この墨蹟を床の間に掛けました。
もちろん、河野老師ご自身は、禅の立場から「帰去来」をもっと根源的な意味――自分自身の本来の面目へ帰ること――としてお考えかもしれません。「そのような解釈ではない」とお叱りを受けるかもしれません。
それでも、お盆という季節の中で、この言葉を眺めていると、亡き方々を迎える私たちの心もまた、「帰る」という一文字に導かれているように感じます。
ご先祖さまをお迎えする準備を整えながら、自分自身の心も静かに本来の居場所へ帰っていく。そんなお盆を過ごしたいと思います。
