長子相続の習わし

毎月、禅語録の勉強会で東京都文京区湯島の麟祥院にお参りします。

門前に、徳川三代将軍・家光の乳母として知られる春日局の像があります

歴史ドラマでは、家光は決して何でもできる人物として描かれてはいません。後継ぎの座を巡る中で、春日局は命がけで家光を支え、徳川家康に直訴してまで長子相続を守ろうとしたと伝えられています。

その姿を見ているうちに、不思議と自分自身の歩みを重ねていました。

私は子どもの頃、運動会ではいつもビリ。何をやっても器用な弟と比べられ、自分に自信が持てませんでした。

それでも住職になったのは、長子相続というお寺の伝統があったからです。

若い頃は、弟に対して意地を張ったり、素直になれなかったこともあります。今思えば、申し訳ない気持ちもあります。

ところが今では、弟が子どもたちを連れてお寺へ来てくれます。

「おじさんと遊んできなさい。」

そう言って送り出された甥たちに木魚を教えたり、一緒に笑ったりする時間が、何よりの宝物になりました。

過去は変えられません。

しかし、過去を振り返ることで、これからの家族との向き合い方は変えることができます。

歴史は、昔の出来事を学ぶだけではありません。

今を生きる自分自身を見つめ直す鏡でもあるのだと、春日局のお姿の前であらためて感じました。