役僧制度の衰退

今となっては昔のことですが、10年ほど前は、ご葬儀で菩提寺の住職が勤める導師の脇に、三人なり五人六人の和尚さんがついて、お経をあげてお弔いをしたものです。

メンバーの構成は、大きなお寺の場合は、従業員の和尚さんが担当しました。組合を作って相互に依頼することもありました。

「チーン、ポン、ジャラン」という鳴らし物を担当して、お経を合唱したものです。私は鳴らし物のテンポをずらして、葬儀の後に導師から叱られたものです。

 

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それがなぜ昔のことになったのかは、家族葬が多くなって導師一人でのお弔いが増えたこともあります。

ご遺族が、脇につく和尚さんを呼ぶことに価値を感じなくなったことにもあるのではないでしょうか。

10年前、私は役僧に呼ばれていましたが、どこか違和感を感じていました。役僧に呼んでもらうために、大きなお寺の住職にはご機嫌を取ります。お盆や暮れには、家族総出でご挨拶に行く。「まるで奉公人のようだ。」と感じました。

檀家さんも和尚の懐具合のことはご存知で、「あの和尚さん派遣切りにあったね。」と噂されていました。

そんなわけで、多くの和尚さんが脇に控える役僧制度は、減って行くことは目に見えていたのです。

一人の僧侶でお弔いをすると、大勢の僧侶でお弔いをすることのどちらかがいいのかは、ご遺族にお決めいただき、僧侶は形を強要しないことが求められているようです。