臨済録

雨が上がってきれいな夕空のもと、名古屋市の栄にある政秀寺で臨済録の講話を聴聞してきました。

ある修行僧が前に進み出て臨済禅師に拝んだ。そうすると臨済禅師は「喝」と叫んだ。修行僧も喝と言い返した。」そうして「修行僧の中の前堂と後堂のリーダー二人が喝と言い合っていた。それを見た一人の修行僧が臨済禅師に「このやりとりに優劣はありますか。」と尋ねると、「ある。やっている二人に尋ねよ。」

このようなストーリーの講話でした。まるで酔っ払いのケンカのようなやりとりです。
老師は、「このやりとりは平等の教えを示している。」と説かれました。喝と言い合っている最中は、不公平な差別というものがあります。次第にとらわれの心がなくなって、「言い合う相手と共に生きている。」という平等の心に行き着くという解釈をしております。

傘を振り回して、「この野郎。」と怒鳴ってきたお婆さんとのやりとりを思い出しました。私は喝と言うかのように厳しく応じるうちに、「お互いさま。」という気持ちが湧いてきたものです。

「この臨済録を読み解いて行くには、僧堂での修行ばかりでなく一般社会での経験を積むことを欠かすことができない。」という思いを抱きつつ、栄の街を歩いて帰路につきました。

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