無葬社会

2カ月ほどかけて「無葬社会」という本を読み終えたところです。
昭和の終わりの頃は、家族や親戚や町内の人が集まって、催し事のように大きな葬儀が行なわれていました。
今では、参列者が30人ほどの小規模の家族葬や葬儀式のない直葬が多くなってきました。
地縁や血縁などのコミュニティの結束が弱くなっていることばかりでなく、我々僧侶が儀礼の意味合いを説くことを疎かにしていたことへの反動もあるようです。

この本を読んでいると、僧侶としての思いと、一般の方との仏事への価値観にギャップがあることに気づきます。一般の方の「これまで我慢してきたけれど、これからは。」というマグマを感じます。

皆さまの思いの中にどう着地して、信仰を深めていくのか思案しております。
「自らいまだ渡らざる先に、他を渡す。」という道元禅師のお言葉があります。これまでの儀礼にこだわり続けるのではなく、皆さまが菩提心をお持ちいただくように布教をしていきたいところです。

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