光を知るためには

致知出版社から発売されている、鎌倉の円覚寺管長の横田南嶺老師の講演のDVDを拝見させていただきました。

「本当に光を知るためには、闇を知らなければならない。」と身にしみるメッセージがありました。
横田老師は、苦悩されたエピソードをもとに、「どん底に落ちて、その経験から、微笑むことのありがたさを知ること。」の大切さを説かれました。

先日、大学時代の同級生と思い出話をしておりました。「ぼくらの大学時代は、本当に大変な時代だった。でもその経験があるから、這い上がるエネルギーが湧き出るんだよ。」と語っておりました。

住職になった頃、修行道場の後輩から、「あなたが(僧堂に)いたときは楽だった。檀家の少ないお寺でどうやって行くのですか。私は大きなお寺に入るから安泰ですよ。」と言われたものです。
そんな打ちひしがれることがあったからこそ、お寺を運営するには何が必要かを追い求めて、多くのすばらしい出会いがあるのです。

心から共感することができる、すばらしい講演を聴くことができました。

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お内裏さまとお雛さま。

あっと言う間に、二月は過ぎ去っていくようです。
一週間後はひな祭りということで、掲示板にもお内裏(だいり)さまとお雛さまをお飾りしたところです。

春一番の風が吹いています。お二人には花粉症にご注意いただきたいところです。

皆さまもお気をつけください。

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臨済録

「无名会」という法話の会で、「臨済録」の講話をお聴きしてきました。

臨済録とは、臨済宗の宗祖とされる臨済禅師の語録です。読み解こうとしてもわかりにくいものでした。

今日の木村太邦老師の穏和な語りから、少しずつわかってきました。
臨済録を読み解くには、「叱ることが親切である。」という前提をとらえることが必要であるようです。

臨済禅師は、棒で叩かれて打ちひしがれて、悟りを開かれました。指導者になってから、お弟子さんに向かって、細かい説明より「喝」と叱ることで指導をされてるのです。

臨済禅師は、修行のとき悩まれたのですが、「叱りつけて、弟子の一人は感謝して礼拝した。それを見て「彼は見込みがある。」と述べた。」という場面は、今になってわかることです。
「私の教え方についてきてくれる。この子には教え甲斐がある。」という自分の経験があるからです。

臨済録の講話は、2年以上に及ぶものになることでしょう。自分の経験のもと読み解いて、皆さまにお伝えできればと考えております。

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浄土宗の総本山の門前にある和順会館で、宗派を超えた僧侶の勉強会に参加してきました。
少数精鋭のお仲間で、建設的な意見を出しあい、智慧を導き出すことができました。

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「これまでのシステムでは、お寺を運営することは難しい。でも仏法を伝えるという使命を忘れてはいけない。」という考えは、参加者が全員共通していました。

「愛語よく廻天の力あるを学すべきなり。」とは道元禅師のお言葉です。「慈悲の心を忘れずに、地道な布教をしていくことの積み重ねが、やがては世の中を変えていくことができる。」と解釈しております。
少しずつの前進こそが、大きなエネルギーに変えるのです。

研修中ご一緒したご住職と世間話をしていると、その方のお寺の檀家さんとうちの母が、勤務先の小学校で同僚であったことがわかりました。
この世の縁とは不思議なものです。愛語というものから、縁をつなげて、エネルギーに変えていきたいところです。
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不思議な縁

テレビを観ることはあまりありません。母が大河ドラマを観て、歌のようなお経が読まれていたというので、観ておりました。

観音経でした。「或漂流巨海 龍魚諸鬼難 念彼観音力 波浪不能没」というくだりが読まれていました。「大海に漂流して、龍や大きな魚が襲ってこようと、観音さまとお唱えすれば、波も引いて困難から逃れることができる。」という解釈をしております。

困難の時代を描いたドラマであるから、歌のような読み方で安心をもたらす演出がされたのかもしれません。

このドラマの主役の直虎の出家した龍潭寺は臨済宗妙心寺派のお寺です。敵側の今川義元は、青年期は「梅岳承芳」という名で妙心寺で修行していました。
不思議な縁に包まれているようです。

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お寺での作務

大学時代の同級生が、作務の手伝いに駆けつけてくれました。
今年は後厄ということで、「お寺での作務こそが、何よりの厄払いになる。」とありがたい言葉をいただきました。

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誰かが見ているから。

庭の隅の梅の花が、ひっそりと咲いております。そんな光景に合わせるかのように、掲示板のポスターを貼り替えました。
「誰かが見ているから。」とひっそりとコツコツと励むことへのメッセージです。

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小中学生の頃、校長先生を勤められた和尚さまから、「後光が差しているように、村の人はちゃんと見ているから。法衣でも恥ずかしがらずに、農道を歩きなさい。」という教えがありました。
今では、東京や名古屋の駅や街でも、法衣で歩いております。

最初は抵抗のあることでも、「見てくれている。」との安心のもと、積み重ねていくことができるのです。

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街の宝物

役所の掲示板の中に、消防団員募集のポスターを見つけました。私は地元の町内会で、消防団員の活動状況をお聴きするものですから、目を惹きインパクトのあるものでした。
「キミを守ろうと言ってくれた あなたは街の宝物」という標語は、使命感を高めるものです。

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涅槃

明日は、お釈迦さまが涅槃にお入りになった涅槃会(ねはんえ)です。
涅槃図を広げて、手を合わせております。
空を見上げると、悩みやとらわれのない世界を月が照らしているようです。
「願わくは 花のもとにて 春死なむ。その如月の 望月のころ」と西行法師の詠まれた世界を思い浮かべております。

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冬 雪冷えで 涼しかりけり。

暦の上では春になりましたが、寒波は日本にしぶとく居残っているようです。
ここは、「冬 雪冷えで(ゆきさえで)涼しかりけり。」と道元禅師の歌を唱えながら、雪景色を眺めております。

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