お寺が消える。

お布施の金額を定額化するなど、賛否両論のお寺の取り組みをされる、埼玉県のお寺のご住職の著書を読んでおりました。長い僧侶人生に基づく検証には共感するところが多いものです。

3年ほど前から、宗派を超えたお坊さんの集まりに参加して、お寺のあり方を模索しておりました。一概にお寺は住職と檀家さんによって構成されますが、その背景図は全国各所で多種多様です。
うちのお寺の地方では、農地解放によって、お寺の経済基盤が弱体化して、住職が教員や公務員を勤めることが当然のことのようでした。「オレは修行に行きたかったけど、お寺を守るために教員に就職した。」と懐古される和尚さんもおられます。
檀家さんのほうでは、戦前は大地主でお寺に多大な寄進をされたお宅でも、いまは年金収入でつないでいる世帯が多いのです。
住職の収入も檀家さんの家計も低下するのですから、これまでの背景図では到底お寺を維持できません。

お寺を維持するにあたって、多種多様の意見があります。古来から綿々と受け継がれてきた教えを、継承していくための配管が詰まっているような状態と捉えております。緻密な検証といろんな工法があることを知り、どの手段で大手術をするのか考える時であると考えております。

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