本来の布教

ここ何年の間に、「寺院消滅」などという言葉をよく耳にします。私としては、「耳が痛い。」というよりは、「よくぞここまで分析が進んだ。」という感想を持っています。

うちの周りは、経済的規模を示す檀家数が100世帯に満たないお寺がほとんどです。お寺の収入だけで生計を立てていくことは難しく、昭和の時代は住職になってからも、教員や公務員との兼職をされていた和尚さんがほとんどでした。

住職になった頃、お寺だけでの生計も兼職もうまく行かずに悩んだものです。「あんたのお寺も統廃合の対象だよ。」と言われたものです。
数年前から、お寺の運営において、「檀家さんファースト」という視点が欠けていたことに気づくようになり、檀家さんや近隣の皆さまの潜在的な要望と離れたものであることが見えてきました。

今のお寺が停滞しているのは、檀家数や住職の生計が成り立たないからという要因ばかりでなく、本来の布教というものが実践できていないことも理由にあるようです。

今回拝読した本では、「田舎のお寺の未来はかなり厳しい。」という論調でした。絶望的とも読める社会的要因を分析して、いかに対応していくのかを考えていく上で、奮起する内容でもありました。

img_0070