「ひとり死時代のお葬式とお墓」と切なくも現実を思い浮かべるタイトルの本を読みました。

父や祖父が亡くなった30年前は、遺族はただ悲しむばかりで、檀家さんやご近所の方々や和尚さんたちの指示に従うばかりでした。「指示待ち」で事が運んでいったのです。

この伝統は、土台が揺らいできています。親戚やご近所とのつきあいが薄らいでいます。ごく身内の参列者の「家族葬」が増えてきているのです。

僧侶として、この変遷を諸行無常とただ捉えていくのか、新たな仏縁を繋いでいくように導いていくのか、今後の課題になっていくことでしょう。

福祉の仕事を40年近くお勤めされた方からお聴きしました。「和尚よ。福祉の仕事はゴールなどないのだよ。だから達成感もない。ただひたすら、相手のことを思いやっていくことを続けてきたんだよ。」と語っておられました。

今後、葬儀のあり方やお墓のあり方が大きく変わることでしょう。「これがいい。」と決めつけることではなく、お相手のお気持ちを思いやることが大切であるのです。

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